「フェイトママ、早く帰ってくるといいね……ヴィヴィオ」
「うん……かえってきたら、いっしょにおかえりなさい言うの……」 「そうだね…」 頭を撫でる。サラサラの髪が指に気持ちいい。 時間は遅い。いつもなら既にヴィヴィオを寝かしつけている時間になっている。 ミッドチルダには地球独自の「クリスマス」なんていう行事はない。だから、休暇を取れるかは運任せだ。 年末年始という時期的な概念はあるけど、年末だろうが年始だろうが、時空管理局員にとってはあまり関係がない。特に執務官になると、戦技教官よりも多忙を極めることが多い。 教官職が主な私は休暇を取れたけど、フェイトちゃんはそうもいかなかったらしい。 「ごめん、なのは。出来るだけ早く帰ってくるから」 イヴの今朝からそう謝られた。 毎年、この時期は一緒に過ごしているのに。それに、今年は新しい家族が増えたのに……。 「すぅ……すぅ……」 私の横でヴィヴィオが小さな寝息を立てていた。 ヴィヴィオ用の毛布でくるんで、私の分の毛布もかけてあげる。 室温を調節しようと思って、ソファーから立ち上が―― 「んむー……なのは…ままぁ……」 ――立ち上がろうとするも、小さな手に袖を掴まれていた。 柔らかい手、小さい手、力のない手。なのに、振りほどけない。振りほどきたくない。絶対に振りほどきたくない。 そっと座りなおして、ヴィヴィオを抱き寄せる。 「レイジングハート、室温を調節してもらえるかな」 『わかりました』 遠くで空調設備の電子音が鳴った。 適温を選んで調節してくれている。 「ごめんね、こんなことに使っちゃって」 『問題ありません』 「ありがと」 長年付き合ってきた、家族といっても過言ではない存在の言葉。安心できた。 自分でさらに身を寄せてくるヴィヴィオの温かさを感じつつ手近な所に置いていた絵本を手に取る。 読んで聴かせるわけではなく、静かにページをめくっていく。 「……フェイトちゃん、早く帰ってこないかな……」 安心できるその場所で、私は想い人を待った。 「……無事に…帰ってきてね……」 テーマ:魔法少女リリカルなのはStrikerS - ジャンル:アニメ・コミック
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